笙
白川静先生の文字講話やお祝いの会で何度か聴かせてもらった宮田まゆみさんの演奏会。
平調調子(白川先生に聴いて戴いた最初に曲で 1000年以上前の曲)、
雙調調子(弥生の終わりの曲で この日は旧暦の3月28日だから)、
さくら(これは細川俊夫作曲であるが 琴での演奏で有名な「さくら」を笙でも演奏された)、
One9(東洋の文化に魅せられたJohn Cageが作曲した10曲の内の1曲)、
輪臺、青海波(この二曲は対になって演奏されることが多いそうだ)の6曲、
美術館の中庭中央に 東大寺の八角灯篭の複製がある。
八面の火袋の窓の羽目板のうちの四面に音声菩薩(おんじょうぼさつ)像が浮き彫りされている。
笙・横笛・銅跋子(どうばつし)・尺八などをそれぞれ奏でている。
演奏の合間には 笙を袋に入れられる。これは呼気によって内部が結露しやすく、そのまま演奏し続けると簧(した)に水滴が付いて音高が狂うので、火鉢やコンロなどで演奏前や間に楽器を暖めることが必要であるが この日は袋の中にホカロンを入れて温めているということだった。
笙は吹口より息を吸ったり吐いたりして、17本のうち15本の竹管の下部に付けられた金属製の簧(した:リード)を振動させて音を出す。
その簧は銅などの合金製で、竹管の下方に鑞(ろう)でとりつけ、息を吹きこんだり吸いこんだりして振動させて音を発するものである。
と、これは演奏の合間に説明されたことで 全くの受け売りである。
笙は日本起源の楽器ではなく 中国・隋唐時代の宴饗用の音楽に用いられたものと考えれているようだ。
「龠」は
甲骨文字にもあり 三孔がある竹笛のことである。
「龠・ヤク」は笙を表しているとのことだった。
私の勝手な憶測ではあるが こういう係わりから宮田さんは文字にも興味を持たれたのかと思った。
ここの美術館の展示品はいつも青銅器が多い。
今回は絵や書が多く青銅器は少なかったが、普段は懐中電灯を用意して見られるようにしているが 書作品などを照らさせると不都合があるので 置いていないということだったが 特別に青銅器の中を見せてもらった。文字が思いの外ハッキリ見え大感激!
展示品は撮影禁止なので 手書きで。→
この饕餮文方彝(とうてつもんほうい)に「史」の字が見える。
「史」は中と又(ゆう)を組み合わせた形で木に口(サイ・神への祈りの文を入れる器)を付けて手で持ち 高く捧げて祈る意味である。祖先の王を史(まつ)る祭りの名に用いた。
by souu-3
| 2014-04-28 17:43
| 文字の成り立ち・漢字